消費税率引き上げに伴う賃貸借・請負契約等の注意点

令和1年10月1日から、消費税率が8%から10%へ引上げられますが、賃貸借、リース、請負契約など一定の契約については、10月1日以降の引き渡し等であっても、8%の税率が適用される経過措置があります。

  • 請負契約の工事代金は、原則として引渡し時の消費税率が適用されますが、平成31年3月31日までの契約であれば、10月1日以降の引渡しであっても、8%の税率が適用されます。
  • 家賃の賃貸借やリース契約(資産の譲渡によるものや一定のメンテナンスリースを除く)は、平成31年3月31日までに契約し、9月30日までに貸付けが開始されれば、10月1日以降も8%の税率が適用されます。

軽減税率はすべての事業者に影響があり、導入により請求書・レシートの記載が変わります

消費税率10%への引き上げと同時に、飲食料品等を対象にした8%の軽減税率制度が導入されます。軽減税率は、飲食業や小売業、食品卸や食品製造業など飲食料品を販売する事業者だけでなく、すべての事業者に影響します。
飲食料品を販売する事業者は、請求書やレシートを発行する際に、8%と10%の税率ごとに区分した記載をしなければなりません。
飲食料品の販売がない事業者は、仕入、販売には10%の税率が適用されますが、経費として飲食料品を購入する場合には、8%の税率が適用されるため、帳簿への記帳にあたっては、税率ごとに区分しなければなりません。
消費税の軽減税率が導入されると、取引ごとに適用される税率(10%と8%)を区分経理する必要があり、現在の請求書の記載事項に新たな事項を追加する必要があります。

  1. 令和1年10月1日からは、簡易な措置として、現行の請求書の記載事項に「軽減税率の対象品目である場合はその旨」「税率ごとに合計した対価の額(税込)」を追加した「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。
  2. 令和5年10月1日からは、「適格請求書等保存方式」(インボイス)が導入され、請求書の記載事項に、さらに「発行事業者の登録番号」「税率ごとに合計した対価の額(税込又は税抜)及び適用税率」「税率ごとに合計した消費税額」が追加されます。

インボイス制度への対応が必要になります

現状、誰への支払でも仕入税額控除ができますが、今後、経過期間はあるものの、令和5年10月1日以降はインボイスを交付してくれる業者への支払しか仕入税額控除ができなくなります。この「インボイス」を発行するには、税務署に登録申請をし、事業者登録を受ける必要があります(登録を受ければ、「登録番号」がもらえます)。

そして、事業者登録を受ける条件として、消費税の納税義務者になる必要があります。

インボイス制度は令和5年10月1日から始まりますが、この日からインボイスを発行するには(登録を受けるには)、令和5年3月31日までに登録の申請をする必要があります(受付自体は令和3年10月1日から)。

消費税の納税義務がない人(会社)は、この申請をこの期限までに行うことで、制度のスタート時点から消費税の納税義務者になり、インボイスの発行が可能になります(この場合、登録申請以外に届出書の提出は必要ありません)。